太陽から吹く風って、どんなだろうね?
もうずいぶんと前だけど、科学雑誌で読んだんだ。太陽風、って言葉があるんだって。同じ記事で、確か(太陽は音を出してる)とも書いてあった気がする。だけど、それ以外まったく思い出せないんだわ。だって普通に考えたら、風も音も真空の宇宙空間じゃ有り得ないもんなぁ。う〜ん、なんでだったっけか?
真相はともかく、僕は(夢のある話だな)って思えたんだ。理詰めのイメージがある科学の分野で、寂し気な宇宙に風がそよぎ唄が響いてる…なんて。ユーモアがあって良いよね。たとえば他にも「僕らは星たちの子供なんだ」ってのもあったな。材料が一緒なんだってさ、元素とかの話だけど。
気の遠くなるほど大昔、惑星だか彗星だかの一部だったとして。想像してみるとするじゃない? 太陽みたく惑星を照らしてる自分をさぁ。
あっちこっちを、小っちゃい兄弟が元気に踊り回ってる訳よ。自分が彼らを照らしてると、その光が自分のとこに返ってくるの。自分から流れ出るエネルギーで、彼らの中に海が生まれて緑が生まれて、その変わりゆく色彩がフィードバックされて…。なんか嬉しいんだな。
あるいは、みんなが歌ったり踊ったりする様子を離れて見てたりして。実際、僕は輪の中に加わってゆく人の楽しんでる姿を見てるほうが好きだったりするから、そうやって太陽系の外れに浮いてる石っころだったのかもしんない。超新星とか。ブラックホールだった事もあるのかなぁ、あんまりイメージできないけど。
ブラックホールは、恒星の寿命が尽きる時に爆発できないと生まれるモノらしい。大きくなり過ぎた星が、自分の重力の強さに負けて内側に潰れちゃう事が起こり得るんだって。そんで超高密度に縮んだ重たい何かになって、更に何でもギューギュー引き寄せ始めるんだって(違ったかな?)。うーん、どんな気分なんだろう。
周りの兄弟も他人も取り込んでしまい、そばには誰もいなくなっちまう。喜びも悲しみも情熱と冷静とその間も、好きでも嫌いでも呑み込んでしまう。光も見える前に消えてしまうから、本当に虚無で闇しかないんだ。なのに自分の中は凄い量のエネルギーでパンパンで…。あー苦しい! もうブラックホールは止〜めた。
じゃあ話を変えて、8分後の太陽ね。なんか「ふしぎシリーズ・宇宙の不思議」みたい、って知らないか。背表紙が赤銀色の…ま、いいや。
話を戻すけど、ここから太陽まで光速でも8分かかるって知ってた? 前に聞いた時は「1へぇ〜」程度だったんだけどさ、空を見上げて(えっ、これって8分前?)って思ったら妙にショックで。こんなに毎日会ってて、こっちはフレンドリーな存在だって感じてたのに、なんか裏切られたような。オマエって、そんな奴だったのかよ…。
って経験、ありませんか? 身近なものへの誤解というか、一方的な思い込み。人間って、つい自分サイドの目線で考えちゃうよなぁ。自分のカラダだって、日々はがれ落ちて生え変わっていくってのに。
そういえばさ。空も毎日のように見てるけど、その色って(一度として同じ色はなかった)って思わない? 試しに、パッと見上げてグルリと眺めてみてほしい。どうかな。
僕は、ある時そう気が付いたんだ。子供の頃から雲の写真撮ったりしてたのに、ホントに空見た子とか。見るたびに、どこか見たことない色をしてるんだよ。そうしたら、今度は(僕の人生には、あとどれくらい知らない色が見られるんだろう?)って思って再びガーン! まだまだ知らない、僕にとって新しい事がこの世界には待ち受けてるんだねぇ。
チベットとかネパールの写真を見ると、誰が撮っても空が濃いのね。やっぱ高度の関係なのかな、飛行機で見る雲の上の空も濃いから。バイトしてた店に来たカメラマンの写真も、一目で日本じゃない色した夕暮れだった。で、訊いたらモロッコだったの。インドの写真も空気が違うし、僕がメキシコで見た空も日本では見られそうにない深みがあった。
言い出したらキリないけど、夏と冬の夕空も大違いだし、曇り空も表情豊かだよね。
関係ないけど(丸く架かる虹)って、見てみたいな。まだ一度もお目にかかってない。
ますます関係ないけど、僕が一番好きなのは天気雨です(オチなし)。
平成15年7月19日