2003年09月07日

19*言葉と文化と路の上 Pt.III

 すっかり秋ですね、では一句。「ケータイの(はぁい)で終わる切れのなさ 嬉し楽しもやがて空しく」…お粗末。特に下の句が。

 ケータイを使うようになって、電話で話した最後が「はぁーい」という符丁じみた終わり方になってる自分に気が付いたんだ。これって何なんだろう?
(さぁ切りますよ)っていう合図かとも考えたんだけど、だったら固定電話しかなかった時代はどうして言わなかったのか? って説明がつかないよね。知らぬ間に使ってるけど、ケータイを使わない人は「バイバーイ」とか「じゃあね」の後に「はい」が付かないのよ(と言っても、一人しか知らないんだけど)。
 以前はそのほうが当たり前だったのに、今はケータイ使ってる人ばかりで「はい付き」に慣れちゃったせいか、唐突に切られたような錯覚をおぼえるんだよなぁ。そうやって気にしてみると、ケータイ同士で話してる人って、最後のほうは「はぁい」を連発してたりするのね。傍で聞いてると適当に受け流してるような気もするけど、海外でも、やっぱり「はぁい」に相当するようなオマケの結句があるのかなぁ?

 それから、日常の受け答えでは「あ、はい」って普通に言うようになったね。勤め人だった時は会社の先輩によく怒られたんだけど、今じゃ多数派になったのか咎める人もいないし。当時は気を付けてたんだけど、今じゃ僕もすっかり言うようになっちゃった。
 あと、非常に当たり前に「あ、〜」っていう言葉遣いをしてるのは僕だけじゃない筈。この意味不明な接頭詞、考えなしに使ってるけど合図のつもりなのかな? 受け答えの両方で使ってたりするよね。
A「あ、これお願いします」
B「あ、分かりました」
 みたいに。無線みたく(さぁ発言しますよ)という確認だったりして(あれは語尾に「オーバー」って言うんだよね)。便利っちゃあ便利だけど、書き言葉に直すと不自然な感じ。
 一昔前の、ちょっと奥ゆかしい女性の言い回しにありそうな気もするけど、呼びかける時の「あの〜」を省略した形と、納得とか了承した意味での「あぁ」を兼ねてるのかなぁ。しかし大勢が行き交う職場で「あ、〜」が乱れ飛ぶのは、さすがに鬱陶しい。

 言葉のついでだけど、女性ファッション誌で目に付く特異な言い回しも、なんか引っ掛かる。僕自身は滅多に雑誌を買わないんだけど、男性誌では見かけない気がする。それに一般的な活字文でも、あまり見ない独特の表現方法だと思うのよ。
 それは、たとえば写真の脇に「〜をプラスして」「〜で颯爽と」「〜で辛口に」といった調子で、小見出しのような(あるいはオマケの一言みたいな)使われ方をしてるケースが多いのね。写真を見れば一目瞭然な訳で、だから最後まで言い切る必要ないんだろうけど、歯切れ悪そうな文章だなぁ…って思っちゃうんだ。
 余計な文字数を減らしたほうが写植は安上がりになるのかも、ってDTPの時代に一字いくらで商売してるとも思えないし。語尾を省略する事で、提案といったニュアンスを装っているのか(つまり「しなさい」ではなく「してみては如何でしょう」)。それともビジュアル効果として、くどさや野暮ったさを軽くしているのか。

 だけど、この中途半端な言い切り方を会話文にすると(やんわりと、確固たる命令)に聞こえそうなんだけどな。耳で聞いたら、かなり「ダサい貴方が垢抜けるように、オシャレ上手の俺様が丁寧に辛口指南してやるぜ」っていう響きになりそうな気もする…。
 そんなオシャレ雑誌のグラビアが、時々えらくビミョーなコーディネートだったりするんだよなぁ。あれってセンスが一歩先なのか、読者の盲信的な虚を突いてるのか、それとも本当にファッショナブルなのか混乱させられる。
 大体、モンペ風パンツにキャバサンもどきが流行中らしいし。そのまま聖子ちゃんカットにでもしたらどうよ?…って、やっぱ「イケてない」のは僕かしら。

平成15年9月7日
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posted by tomsec at 22:24 | TrackBack(0) |  空想百景<11〜20> | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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