2004年05月31日

47*湯と塩

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 今、銭湯から帰ってきたばかりでワープロに向かっている(そう、僕はフロッピーでパソコンに入稿してるのよ)。
 元々この近辺にはまだ銭湯が多く残っているんだけども、利用するようになったのは割と最近になってからだな。彼女が僕の部屋に泊まっていく時、風呂場は家族と共用になるのが落ち着かない感じなので「じゃ、銭湯でも行く?」と提案したのね。
 で、こうして一人で行ったりもするようになった訳。家でバスクリンなんか入れて雑誌読みながら浸かるのも好きなんだけど、やっぱ時々は(外湯じゃないと)って気分になる。今日は酒も呑んでたし時間的にも億劫だったのね、でも行ったら気持ち良かった。
 まずサッと体を流して温いほうに浸かり、それから洗って熱いほうに入って、最後に桶とイスを流して片付ける。400円もするから長湯して元を取ろうとしたくなるけど、今夜はアルコールが抜ける位で丁度良い。番台のオバチャンに挨拶して外に出ると初夏の夜風、春でも夏でもない季節のね。
他の季節にも良い瞬間は色々ある、だけど今の時季ほど完璧じゃない。昼間の陽差しも夕暮れ時のゆるかさ加減も、僕の生まれた季節が最高!

 今夜は深緑色した湯で、違うと思うけど苔のような香りがしてた。田舎の便所みたいでもあり、そこまで言っちゃうと気色悪い? でも目を閉じてると露天風呂のように生々しく感じたの。匂いって過去の一瞬をリアルに再生したりするけどさ、懐かしいようで知らない匂いだったから延々と検索かかっちゃって、そんな自分の心の状態も面白かった。
 何かが浮かび上がってくる、もう一息で(あ、あれは…)って思い出せる寸前で検索から弾かれて別の記憶が出てきて。湯船の下から噴き出す泡みたく、次々と繰り返し思い出しそうになる光景を、僕は目を閉じたまま夢中になって捕まえようとしてたの。子供の遊びだよね、うまく伝わるか自信ないけどさ。

 あと水風呂、あれもいいよね。のぼせそうに暖まった体で、じわじわ浸かるの。じっとしてると周りの水が体温で冷たくなくなるんだけど、少しでも動くとヒヤッとしてさ。そうやって段々と冷まされてゆく時の吐く息が氷のようで、また僕は目を閉じて自分の心で遊んでしまう。誰もいない淵、とか想像して。
 去年の夏頃は塩ブームで、これは自宅の風呂に入る時の話なんだけど塩で体を洗ってた。肌に塩をなすり付ける、そのしみる感覚が海っぽくて。床にべったりと座り込んで、体中を塩まみれにしてね(もちろん頭も)。それを残り湯かぬるま湯で流してく、その時も目をつぶって想像の海岸線で波に巻かれてるのよ。島は浅瀬がないから、たとえばカンクン(メキシコ)の日向水っぽい感じ。
 なんか今回は一本道で勢いに任せて書いてしまったねぇ。コンビニで買ったビールを飲み干すよりも早かったなぁ! タイトルも直球だし…。忘れた頃に読み返して、全面的に手直し入れそうな気がするな。
 もう一本、ビール飲んだら寝よ。明日から雨らしい。

平成16年5月31日


posted by tomsec at 21:01 | TrackBack(0) |  空想百景<41〜50> | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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