2004年10月24日

56*ロックンロール

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 寒くなってきて、ついバーボンを買ってしまった。バラが4つの、グリーンラベルのほう。何年ぶりかな? 酒瓶を横に置いて、布団でゴロゴロする夜は…。
 僕は元々、外より部屋で飲む方が多いのだ。電車の心配も要らないし、すぐ横になれるもんね。大抵オンザロックなんだけど、今回は珍しくストレートで飲んでたのよ。グラスは手元にあって、氷を取りに行くのが億劫でさ。冷えてないからチビリチビリとね、これが良い感じだったんだわ。高い酒じゃないんだよ、でも味わい深いというか。

 大体、酒の味って不思議じゃない? 苦いような辛いような、舌先を焼くような香ばしさ。口に含むたび、匂いなのか味なのか判別つかない芳醇な感覚に意識が向くのね。これ、何かで割って飲んでた時には気付かなかったなぁ。
 バーボンは、音楽が聴きたくなる酒だ。特に、ジャズとかハードロックを(R&Bとかブラックミュージック全般も範囲内だけど)。そうなると、つい聴き馴れた古い物を選んじゃうんだよねー。最近、新しいのって全然だし。

 なんだか長いこと、巷ではパンク系が流行っている様子。しかもナツメロを荒っぽく演ってたりして、そんでもって楽器は高級品で。曲調も直球というよりは変拍子だったり、ハモリが妙に上手だったりして凝ってるし。ま、色々なんだろうけどさ。
 ラップも、ずいぶん長く続いてるね。でも段々とダレ気味〜ってな感じもして、ややネタ切れっぽくない? それはそれで構わないけど、そういうのって一時期のパラパラって踊りを思い出しちゃう。手先だけ踊ってて腰も表情も動かない、80年代後半のユーロ以上に味気無い感じの。
 当時のユーロビートは、曲によってディスコ毎の振り付けがあったりしたのね。笛吹いて扇動する人に合わせてさ、全員で手旗信号みたいに決めるの。そういう「みんな一緒」的ノリが、昨今のJ−POP内パンク&ラップ部門に感じられたりしてね…。
 ロックンロールは、本来そういう予定調和を指向しない筈なんだが。

「プラ〇ーン」という戦争映画に「ロックンロール」という台詞が出てくるの。規律第一の軍隊とロックじゃ矛盾してるよね? だけどあの場面はロックしてるんだ。言葉のニュアンスとしては「気合を入れろ」じゃなくて、「魂を奮い立たせろ」とか「クレイジーになりやがれ」という含みを持った使い方なのよ。

「セックス、ドラッグ&ロックンロール」ってフレーズは、ロックンロールの代名詞である前にイアン・〇ューリーの名曲でさ。僕が来日公演を観た時はもう、ブロックヘッズを率いる彼はすでに老人だったの。杖をついてステージ上に立ち、時には椅子に座って。それなのに本当にロックンロールしてたんだよ、あんな年寄りになりたいもんだぜ!
 でもさ、その代名詞に何故アルコールが入ってなかったんだろう? って、ずっと不思議だったの。だってロックのイメージ3大要素じゃん? 伝説的ロッカーに付き物じゃん(尾〇豊はフォークだから除外としても)?!

 だけど最近、それは正解だったのかもしれないって気がしてきた。
 もしも早死にしないで「酒が三度の飯代わり」なんつって酒浸りの日々を送っていると、下手すれば50代を前にアルコールによる痴呆と歩行障害&大小便の垂れ流しになったりするのよねー。糖尿病を併発すれば、更に四肢のマヒ/切断+失明などに至る可能性が高くなるって。実際、そういうのを何人も見ちゃうと(洒落になんねーな)って思う。
 老いてなおロケンロー、そこにはセックスもドラッグもアルコールも必要なかった訳だ。少なくとも、重要じゃない。だから未だ現役を張ってる大物ロッカー達はジム通いとかベジタリアンに転向したりするのか? うーん、それも何だか寂しいけれど。

 ロックンロールにも「継続は力なり」という言葉が当てはまるとして、でもそれじゃあ魂が奮い立つような感じじゃないんじゃないかなぁ…。それより「セックス、ドラッグ&ロックンロール」っていう型にはまらない意味で、ロックには「孤独は力なり」という言葉があってもいいよね。
 ロックンロールという何かは、そこにかかってくるんだと思う。っていうか、思いたい…。

平成16年10月18日


posted by tomsec at 15:54 | TrackBack(0) |  空想百景<51〜60> | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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