そういえば「パイナップル食べ放題!」なんていう日々があったなぁー。
その後、妹は謎の乳液ローション作りを止めてしまったのだ。でも最近は栄養士の勉強を始めたらしく、おかずや洋菓子を作ってみては気前よく食わせてくれる。なかなか旨いんだけど、妹自身の舌には合わないようだ。
言い訳するかのように「栄養のバランス良く作ると、旨いモンなんか出来ないのよ」なんてこぼしてるのを聞いて、かつてバイトしてた先の営業マンを思い出した。というか、彼の何気ない一言をね。
「体に良くない物ってさー、旨いんだよねー」
当時の僕は健康志向を否定するでもなく、でもそんな世の流れに何かがズレてる感じを漠然と抱いていたのね。そんな言葉にならないもどかしさを、簡単に言い当てられた気がしたんだな。
しばらく前の話だけど、やたら新商品に「海洋深層水」って謳い文句が並んだ時期があったでしょ。あの時、なんだか僕は引っ掛かりを覚えたんだ。んで、それを友人宛てのFAXに「それは、地球の脊髄液を抜いちゃってる気がする」って書いたの。今も時々、そのフレーズが脳裏をかすめる。
深い海の、生き物がいないに等しい場所。そこに「豊富なミネラル」だか何だか、生き物に良さそうな栄養素をタップリ含んだ水がある。…うん、ロマンチックな話じゃないか。ただねェ、それが地球の骨髄液なのよ。人間で言うと、免疫系の大本がある場所か?
それを飲み干しちゃった日にゃー、何も変わらず天下太平平穏無事なーんて筈ないんじゃあありませんか?! って思う。むしろ取り返しのつかない、根本的な地球の生命環境をかき回しちゃうんじゃない? って。それって「パソコンのプログラムが出来る人じゃないと弄っちゃいけないファイル」みたいなモンでしょうが。
そういった「聖域」ってのは、地球上でも身近にあるんじゃないかな? たとえば(←これ口癖だね)、世界遺産に指定された途端に荒らされる原生林とか。メディアに取り上げらて、希少なウミガメやら動物の営巣地に人が押し寄せるような。色んな健康食が流行る時、それが人の作る物じゃなかったりする度に僕は(同じ行動パターンだ)って思っちゃう。
最近は定着したせいなのか「癒し」って言葉を聞かなくなったけど、癒される時に自分しか見えなくなっちゃうのって危険だよなぁ。いっぱいいっぱいなんだから仕方ないとしても、そんな柔らかな収奪や搾取が美しく咲く花を絶滅させたら心穏やかじゃ済まされないような。
間氷期、人間の祖先がベーリンジアを伝って新大陸に拡散していったのと同時に既存の動物種がほとんど全滅したんだってね。アメリカにも象やら虎の祖先なんかが沢山いたのに、一気に狩り尽くされていったらしいの。人間ってば、知能は進歩しても精神的には何十万年経っても一緒なんだろうねー。つくづく思うよ。
とはいえ、健康食とか自然志向の風潮が良いとか悪いじゃなくてね、そこに僕は業の深さを感じるのでありました。
時々さ、(体が欲しがってる)っていう感じがするんだよ。
詳しい理屈は知らないが、実感としてリアルなのね。たとえば柑橘類なんかは、僕がタバコ呑みだってのが関係してるのか、かなりそうなる。他にも梅干しとか納豆とか、別に嫌いって訳じゃないけど普段あんまり食べない物が無性に食べたくなったりする時があるんだわ。
僕は出来るだけ、そういう(体からのリクエスト)は叶えてあげるようにしてるのね。で、それを口に入れた時の満足さは(味覚が喜んでる)って感じがするんだ。他人に優しくしたような、ちょっと良い気分で。
平成16年10月20日
2004年12月15日
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