2005年05月29日

【台湾の7日間('02.12/13〜20)】5日目・4 「屏東」


20050529f3d5024d.jpg 空が暮れかけてきている。萬丹の、くすんだ夕空。
 なんだか(宿捜しで日が暮れた)って感じだな、台湾に来てから毎日そうだったかもしれない。考えたくもないが。
 とっとと他の町に移動して宿を決めなきゃ、落ち着いて飯を食う気も起きない。
手堅く泊まれるのは高雄だ、宿の場所も知っている。でもなあ、それじゃ残りの日程を飛行機待ちで消化するみたいだし。
 再び、警察署の前。東港から来た公共汽車に片足乗せて「ガオション?」と訊くと、運ちゃんは黙って来た道を指した。

 首をかしげつつ道路を横断し、反対側のバス停にいた女子高生に訊いてみる。高雄行きには、東港で乗り継ぐのだそうだ。引き返せってか? 滅入ってきた。
 他に手はないものか、思案してたら別の女子高生2人組が。とりあえず声をかけて話をする。
相談してみるもので、彼女達のおかげで(屏東まで行って火車に乗り換える)というアイデアが浮かんだ。そのほうが速いし楽だわ。
よっしゃー、そうと分かれば警察署前に来た公共汽車に乗るべし! またも道路を横切り、間に合ったのに運ちゃんは無視して出発。黒煙を吹きかけて走り去る。
 なーんかヘコまされたぞ、っていうかナメやがって。すんげームカついてきた!
 分かっている、問題は自分の無責任さにあるのだ。一貫性のない、デタラメな行動で自分自身を追い込んでいるだけだった。頭では分かっていても誰かを罵倒し打ちのめしたかった。

 警察署前で萬丹に降りてから、まるでループにはまり込んだみたく堂々巡りだ。結界に閉じ込められたとか、非現実的な考えまで浮かんできた。うんざりする。
 そんな妄想も、次の便で終わりだ。

 公共汽車が来た。
 そこにダッシュしてきたのは、先程の2人の女子高生。公共汽車を追いかけてきて、運ちゃんに行き先を告げている。なんと、わざわざ僕を乗せようとしてくれたのだった。
 おおっ、なんだか泣けてくる温情。タイシェーシェーニンレー、不覚にも涙目。
 慌ただしく乗り込んで、屏東まで26元を払う。さらば萬丹。
 あまり好きになれない町だったが、女のコはナイスだったと覚えておこう。
 写真撮らせてもらえば良かったな、と思った時には見えなくなっていた。

 最後は女子高生に救われたものの、萬丹では盛り下がってしまった。思えば、小琉球での寝起きからケチが付いていたな。ろくでもない一日だ、旅の半ばにして振り出しに逃げ帰るとは。
 すっかり敗走気分で、車窓の黄昏時を眺めていた。町を抜けて暗くなり、車内に明かりが灯っている。

 風景は屏東市郊外の家並みになり、陸橋を越えると市街地のようだ。ネオンサインや人込みで賑わう路地が見えた。電飾看板に「賓館」の文字が。
 本によると、ラブホテルと同義の言葉らしい(つまり佳冬の800元の宿もそうだったのだ)。しかし本来は手軽な休み処を指すので、一人客も普通に泊まる事ができると書かれていた。
 面白い、と思った。一泊600元か、近場には賑やかな屋台の並ぶ路地もあるし。
 急に楽しい気分になってきた。ここで降りれば、宿と夕飯は決まったも同然。下手に高雄まで行くより、歩き回る手間が省ける。
 そう思って途中下車しようとして、背後から急に「日本人?」と声を掛けられた。ずっと運ちゃんと喋っていた、乗客のオバサンだった。耳は(理解できなくても)中国語に慣れ切っていたので、とっさに日本語が出てこない。どこの国の言葉だっけ? と頭の中がまっしろ。
 相手は構わず、ぶっきらぼうに「駅?」と訊いてくる。僕は半端な笑顔でコクコクと頷き、手招きされるまま座り込む。それっきり、何事もなかったかのように運ちゃんと喋りっぱなし。終点の屏東火車站前に着くなり、オバサンはさっさと降りて行ってしまった。
 んー、いろんな親切があるのね〜。

 もう6PM近かった。とりあえずは火車站まで来たものの、やはり今夜は高雄に戻らず屏東で。
 息が詰まるような萬丹の町並みと違って、開放的な感じがする。高雄ほど煩雑ではなく、そこそこ賑やかで手頃な印象の町だ。ガイドブックにも載っている。
 そう、高雄から佳冬に行く火車の乗り換えをしたのが屏東だった。まさか、こんな形でまた来るとは思わなかった。
 本と地図とを見比べながら、町の雰囲気を頭に入れる。安宿(旅社)を調べると、さっきの賓館と同じ値段だし位置的にも近い。どちらも火車站から近かった。賓館は夜市にも近いので、部屋を見て気に入らなければ他の宿を当ってみよう。夜市は、露店の食堂が集中している場所だ。
 電飾の看板から、細い路地を折れる。突き当たりにネオンの矢印、その先は更に薄暗くて変な臭い。ドアの前で右往左往、覚悟を決めて入ると普通だった。駅前型のジャスト・ア・ラブホ、郊外型より地味ではあるが部屋のパネルには趣向を凝らした内装が。気が抜けたけど、ちょっと安心。
 パネルを別にすれば、格安ビジネスホテルみたい。ラブホなのに対面式のフロント、これは如何なものか。連れ込む相手がいない僕には関係ないか。

 例によって筆談。受付のオバサンは日本語が上手で「ちょっと高いなぁ…?」と言ったら「タカくないヨ!」と一喝され、またも値切り損ねた。もういいや、部屋を見せてもらう。
 風呂場との仕切りがないのはエッチな感じ、それ以外は大した事ない。ベッドも回らないし、やや肩透かし。ま、快適に眠れればいいのだ。バスタブあるし、ベッドが広いのは嬉しい。暖かそうな掛け布団で、体が冷える心配もなさそうだ。
 フロントで金を払って部屋に戻ると、意外に備品が充実してる事が分かった。冷蔵庫もあるし、ポットのお湯も自動で再沸騰する。その上、エロ系CATVが2チャンネルも! しかもモザイクなしだぜ?! うれしい悲鳴、そして小躍り。
 一般チャンネルだって高雄の新源旅社より多いし、これなら文句ない(というか最高かも)。


(屏東−おわり)
posted by tomsec at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 台湾の7日間('02.12) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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