2005年05月29日
【台湾の7日間('02.12/13〜20)】4日目・2 「島巡り」
小さな島の、静かで呑気な警察署。
両替をしてくれた非番の同僚も帰り、リンさんの話題も途切れがちになってきた。
カクさんが、ヨウさん(ちょっと年配で、顔はコワモテ)と見回りに行くと言って立ち上がった。
「あなたも、行きませんか?」
カクさんは、ついでに僕を案内してくれると言うのだ。日本の感覚では考えられないが、折角のお誘いなのでパトカーに同乗する。
しかし、町の人からは(よそ者が悪さして連行される途中)としか見られないような…。ま、いいか。
島内の施設にいくつか立ち寄りつつ、カクさんが途中の観光名所をガイドしてくれる。台湾の大学で日本語を学んだだけと言うのだけど、それにしては発音も上手だし語彙も豊富だ。
この島には、大小あわせて500もの廟があるのだという(本では50だったが)。それらは、主に漁業で生計を立ててきた島民の暮らしと深くかかわっているらしい。
小琉球は火山島ではなく、なだらかな起伏に点在する廟の朱色の屋根が緑に映えて見える。海岸線はほとんど岩場で、おそらくサンゴ礁が隆起して生まれた若い島なのだろうと思った。もちろん、若いといっても何万年単位で。
商店や民家は、台湾本土に向いている港に集中していた。島の反対側には、それぞれに言い伝えのある洞窟などがある。しかし観光地としては、見るべきものなど何一つない。
そう言い切ってしまうのは、島の人に失礼なのかな? だけど、のどかで心地よい雰囲気が僕の好みだった。島内一周に一時間とかからない、そんなところも含めて。
また中心部に戻ってきた。人が行き交う細い路地にまで、パトカーは入ってゆく。
そこで折よく郵局(郵便局)に立ち寄り、これも忘れたままだったポストカードも出すことができた。やっと大事な用は2件とも片付いて、落ち着いたところに次々と道端の料理屋が目に付く。
署に戻って早速、カクさんにお勧めの店と料理を教えてもらった。わざわざ道案内から注文までしてくれる、だけど250元もするの?!
自分にしては高いけど、たまにはいいか。それに朝食は大したもんじゃなかったし。チャーハンと貝ネギ汁と、青菜のニンニク唐辛子炒めで200元。
50元安くなったのは、ビールを断ったから。無免許で機車を借りといて、警官の前で飲酒運転する度胸はない。
本日は、宿も食もゴージャス(自分基準で)。
腹いっぱい、宿で一服。冷房の効いた部屋で、ぜいたくに昼寝でもしちゃおうかなー。
それも魅力的だけど、ひとっ走り潮風を浴びてくるとするか。せっかく機車も借りたんだし。
その前に、洗い物を干そうと屋上に行ってみる。階段の外に出ると、海からの照り返しと真夏の熱気で立ちくらみがした。これなら、あっと言う間に乾いてくれそうだ。
今朝は、Tシャツにトレーナーでも薄寒い程だった。長袖シャツまで羽織って林邊を発ったのに、もう今はTシャツ一枚で汗ばんでいる。
フロントにあったチラシの、白沙灘というビーチを目指して出発。
宿からは、中心部を過ぎて龍蝦洞という場所に行く手前にある。筈なのだが、海岸沿いにはロコ道が多くて迷う。日本の某半島と同じで、表示も少ない。右往左往して、小さな漁港に迷い込んだ。
岸壁に続く遠浅の岩場、透明度の高い海。背後の青々とした丘陵には、ぎっしりと鮮やかな墓が。
桟橋で釣り糸を垂れる親子、あとは動くものはなく静かだ。しばし読書、すぐ飽きて走りだす。
日本の感覚で、つい50km/hぐらい出してしまう。
だって見通し良くて車が来ない一本道なのだ、しかし地元の人は制限速度30km/hの半分以下。ノーヘルで、中心部の狭い道で事故ったら笑えない。
どんな小さな事故だって保険は効かないのだ、しかも無免許状態では洒落にならん。
中心部の家々は、沖縄の読谷村を思わせる。かと思えばカンクン郊外で見たような、コンクリート壁の内側を青ペンキで塗って一階前面をガラス張りにした家。メキシコ南部にある町とは縁もゆかりもない筈なのに、時々ビックリするくらい似た眺めに出くわした。特に家の造りは、林邊でもそう思う事があった。
ずいぶん後になってから、台湾に大きな地震があった事を思い出した。建てかけ(または壊しかけ)の家が数軒あったのは、そのせいだったのかもしれない。
そのまま中心部を突っ切って、警察署から港に下りる坂道を通過する。
小琉球大飯店を曲がった右の坂の上に、霊山寺という海に面した大きな廟があった。フェリーが島に着く時に見えるので、小琉球の顔といえるくらい印象に残っていた。
寺とはいっても、仏教のお寺なのかは不明。何といっても見た目は霊廟、この色彩と装飾は日本的な寺院と趣を異にする。あえて言うなら東照宮っぽい。
機車を停めて、岩肌の傾斜に沿って建てられた廟を海に向かって階段を降りていく。
細かく区切られた部屋に沿って継ぎ足した、まるで迷路のようだ。ひっそりとして薄暗い室内は涼しい。通り抜けの丸穴が開いた塀をくぐって、塔の屋根を横に見て回廊から海辺の境内へ。
左の岩場に花瓶岩が見えた。
ガイドブックにも載っていたし、友人Nにも話は聞いていた景勝奇岩。特に見たいとは思わなかったが、こうして偶然目にすると少し得した気分。下がえぐれた巨岩の上に草が生えてて、そのまんま字の如し。
周囲は工事中みたいで、近寄る事はできなかった。
(島巡り−おわり)
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