2005年05月30日
【台湾の7日間('02.12/13〜20)】2日目・4 「林邊」
林邊(Lin-ping?)火車站前の、順仁という宿に。
階段も廊下も木造、ギシギシ鳴らして2階の部屋へ案内される。窓は開かない湯舟はない、この部屋で700元なんて値切るしかない。でもバアサン日本語達者で苦戦。
ついに2泊の条件で200元まけさせたが、後で考えると下らん意地張ったような気がしてくる。だって佳冬同様、何もないんだもの。あるといえば、お寺があったりはするか。
でも違うんだなー、つまり草原で寝転んだり…という感じじゃない。
ともかく、そういう訳で明日まで林邊。
ガイドブックの地図に、站名が小さく載っているだけの町だ。
そこでまずは情報収集、宿の隣の金玉堂書房に。本と文具も売っていて、この店だけ子供が多い。入口に大量のクリスマスカードが並んでいたので、これならポストカードもあると思ったら見つからず。
ともかく、現地のガイドブックを立ち読み。中国語だから読めないけど、漢字のニュアンスから推察するに、佳冬には“客家邸宅”という観光名所があったようだ。
客家といえば中国は広州(だっけ?)で、家屋などに独特の生活様式を持つ民族とか。詳しくは知らないながら、確かに林邊周辺にもそれらしき感じの家々が見られる。
で、林邊はというと? 特に見所ないみたい。でも周囲図を見ると、緑地公園らしき場所がありそうだ。とりあえず行ってみるとしよう。
さっきの茶店と宿の間を横切る、佳冬からの街道を高雄方向に向かう。最初の交差点で左、線路を越えて歩けば緑地公園が見えてくる筈だった。
が、踏切の手前で気が変わって右に。何かありそうな、ちょっといい眺めに寄り道。この辺も排気ガスのひどさは変わらないが、初夏の夕暮れの気配が和やかに漂っている。
西日差す通りに自転車の女性、家並みが途切れてヤシの木と広い空。コンクリートの箱みたいな家、その建て方がメキシコっぽい感じがする(サンタフェ調ではない)。
脇道に入り込んで線路をまたぐと道幅は細くなり、未舗装になった。農家の敷地に入り込んでいるのかもしれない。納屋に繋がれた犬に吠えられるも、道の先のお堂が気になるので行ってみる。
お堂の中には線香が焚かれていて合掌、ケータイの写メール(デジカメ替わり)に撮らせてもらう。その横にあるのは墓か? 中華風の装飾で見分けがつかなかったが、よく見ると沖縄風の形状。なので、失礼のないよう写真は削除しておく。
道はその先で大きく迂回しているので引き返す。周囲は果樹園と畑で、もう日暮れが近いのに湿気で汗ばんできた。目線を覆う緑の回廊。
踏み切りの前まで戻り、今度は直進。道路の左手は、はるか先まで水田とヤシの木。なんか東南アジア的だな、でもどこか郷愁を誘う。カメラを構えると、耳元で蚊の羽音が。
休耕田の水たまりから湧いたのだろう。多いとは聞いていたが冬場だぜ? 今は一応。刺されないうちにその場を離れ、脇にそれて畦道を歩いてみる事に。
道路沿いの家々の裏手は、両側に太いヤシの並木が続く田舎道。面白がって入っていくと、また鎖に繋がれた犬に吠えられたので怪しまれる前に引き返す。
ゆっくりと日が落ちて、水田は暗い夕空を映している。街灯がない道を通るのは久しぶりだ。
道路の右側が、どうやらその運動公園のようだった。思ったより小さくて、申し訳程度の芝生と木立とテニスコート。またもカラフルなお堂、そして人気のないお寺(これは日本で見かける町中のお寺と変わりない)。
期待した雰囲気ではないなー。隣がトラックの駐車場か何かで、バンパーの前にホースの延長ドラムを付けたバキュームカーが停まっている。なんでホースを後付けしてるのか、謎だ。
町中に戻り、ポストカードを探して回るがどこにもない。早くもシャッターを下ろしている店が多いのと、文具を扱う店が少ないのが原因か。筆談で店主に尋ねてみたが、なぜ必要なのかと問い返された。
観光記念、などと説明してみたが通じない。という事はポストカード自体が存在しないのか? 商店街の拡がり方は、霊廟の参詣を当てにしてるとしか思えないのだが。
ポストカードはあきらめて夕飯、また例の茶屋に行きオススメしてもらう。
茶店の向かいの露店で、饂飩湯と肉燥飯に煮玉子を食す。そこに茶屋の女性が来て、林邊名産の果物をくれた。アルプスリンゴの水気を抜いてスカスカにしたような、というと不味そうだなー。
特にジューシーではないけど良い歯ざわり、しかし薄味。それは饂飩湯にも言える。高雄で食べた朝粥もそうだったし、台湾では何でもこの調子なのだろうか?
舌が慣れてくると旨みを感じるが、こればっかりでは物足りない。
それにしても。自然に親しむ、というのは案外むずかしいのかなあ。
台湾も、幹線道路周辺は排ガスだらけ。山も海も歩いて行ける訳じゃないし、畑くらいしか緑がないのは日本と同じだと思った。
やはり月曜には小琉球へ行くか? あるいは高雄近辺の、都会人の為の自然公園(西山湾とか)を周遊して過ごす手もある。その方が節約になるかもな、でも面白味は半減する。
ハズレもあるけど、あちこち動き回ってみたい。ただ、田舎に行くほど宿代が高いのは思案の外だった。むしろ都心だからこそ、客室の稼働率が上がって(競合するし)安く泊まれたのか。
のんびりしてーなー。今のところ、新源旅社の午前中のまどろみと屏東−佳冬間の復興号くらいか。
一体何しに台湾に来ているのやら。
ま、「旅は思い出すもの」なのかもしれない。
(林邊・おわり)
この記事へのコメント
この記事へのトラックバック