「これを持って行ってください、差し上げます」
そう言って奥から出してきたのは、水の入ったペットボトル。
よく見れば濡れているし、しかもキャップが開いていますが?
ガイドブックによれば(日本人が生の水道水を飲むのは止めたほうがよい)のだそうだけど、それにしてもラベルに「酷の水」・・・って何!?
アジアの国々では、色々な商品に日本語が使われているようです。それは台湾も同様で、どうやら日本製に似せたイメージで高級感を持たせているらしいのですね。
そこで見られる不思議な日本語が、稀に言葉の壁というか限界を超える時があって、単に見ていて楽しい以上の面白味があります。
でもやっぱ「酷の水」ってのは、ちょっとなぁ〜。
駅前から248のバスに乗り(土日は99)、フェリー乗り場へ向かいます。
愛河を渡るのは初めてで、港口という貨物駅を見下ろす陸橋の上から旗津半島が見えてきました。
フェリーの料金は全票(往復)10元、わずか10分足らずで向こう岸に到着。
人が降りた背後から、1階に待機していたバイクが一気に走り出します。
すごい排気ガス!
港の外れまで歩いて行って戻る間に、すっかり僕はここが気に入ってしまいました。
いいなぁ、このムード!
港から坂を上って「台湾キリスト教伝来の地」を通ると、もう反対側の砂浜でした。

海水浴場なのに「遊泳禁止」の立て札があるのは妙ですが、きれいなビーチです。
サーファー2人が、ボードにまたがり波待ち中でした。
旗津半島とはいうものの、実は堤防のように細長く伸びた島です。
昔は本当に半島だったのですが、内海との海運の都合で外海とつなげるため付け根の陸地を掘り抜いたのだそうです。
コオ老人の話によれば、この半島から高雄は漁業の町として栄えていったとの事。
内陸部の開発が進んだのは日本統治時代で、愛河も日本軍が竣工したのだとか。
そんな旗津も、今は気持ちよくひなびた港町。
ビーチもあるしK−netもあるし、次回はここで宿を探すのも悪くないかも。それに出租(レンタル)MTBとか、観光3輪車(輪タク)もありました。
「帰りはバスを乗り継いで、海底トンネルの方を通りましょう」
せっかくのコオ老人の提案でしたが、一向にバスが来ないので断念してフェリーで戻ります。
空ぶかしをするバイクの音も、2階の客室には聞こえてきません。
旗津の漁港が夏の夕暮れ色に染まって、対岸の近代的な重工業の港にライトが灯り始めていました。

帰路、コオ老人から熱心に
「明日は寿山公園を案内しましょう」、
「息子の車で、台東の温泉に行きましょう」
・・・と、例によって強烈に口説かれてしまいました。
でも明日は最終日ですから、あまり悠長に遠出してる気にはなれないんですよね。
「大丈夫ですよ? 台北には長距離バスで行けば、早いっ! ね、そうなさい」
はぁー、お気持ちだけ頂戴し丁重にお断りしました。
しかし今度は夕食の誘いを受け、さすがに根負けしたような気分でご相伴に預かる事となりました。
家政婦に雇っているタイ人女性の作る、普通の味付けの食事です。
気を利かせて日本食にしてくれたのか、コオ老人が日本びいきだからなのか。
玄米ごはんに焼き魚、そして白玉ぜんざい。
今日は冬至なので、慣習でお団子を食べるのだそうです。
辞去する際に、また明日の昼食を一緒にする約束をしてしまいました。
ははは・・・。
「酷の」という日本語で、一体なにを表したかったのか?!・・・と。(^_^;)"
思えば欧米圏のサブカル好きにも、Tシャツに妙な日本語が使われてたり。
ま、敢えて不正確にしてるとか視覚的印象かもしれませんけど。
台湾では、誤字とか不正確な日本語表記は見かけませんでしたが、
商品説明などの言い回しがネイティブからは新鮮だったりしました。
それは酷な話です。
というようなシチュエーションを想像してつけられたとか?
意外と日本人がつけてたりしてねぇ。
今年もどうぞよろしくお願いします。
もしかしたら台湾では「酷」という字に
(素晴らしく美味い!)
とかいう意味があったりするのでしょうか・・・。
こちらこそ、本年もご贔屓のほど宜しく賜りたく。