それも自覚するようになってから、だいぶ経つ。なんだか懐古主義みたいで気恥ずかしくもあるのだが、どうにも止まらないようだ。
具体的には「ここ10年」で携帯を持つようになり、パソコンも持つようになった。そこには当然ながら、メールやホームページやブログといった事柄も含まれる。
それから作詞作曲や描画といった、割と創作的な趣味も熱意と共に失われた10年という気がしている。それに代わってガンプラだったりゲームだったり、まぁそういった消費の度合いが高い趣味に走った。
それ以外にもキャンプなどから縁遠くなったとか、理想主義者的な考え方が鳴りを潜めたとか、少なくとも自分で感じる「ここ10年」の変化というのが結構あるのだ。
体重が増える一方になってしまった、というのもある。
老化、いや老成の始まりなのかもしれない。
そう思ってみて、ほろ苦い気持ちになる。
体力や体質の変化に抗おうという気はないし、精神的にも淡々としてくるのだって分からなくはない。まぁ他愛のない事ばかりであれど、いろんなことがあったものな。
先週、このブログにて1年ほど更新してきた「'05台湾×2」が終了した。
いわゆる旅モノも、これで一段落といった感じがする。行ってみたい場所というのも、それほど思い浮かばないし。
それに自分にとっての旅というものが、何というか少し分かったような気がして。
変な喩えだけど、メーテル・リンクの青い鳥みたいなね。
10年前、自分の表現を公表できる環境があったら好いなと思っていた。
要するに「プロになるかならないか」といった選択肢でなく、それまでのように親しい人にカセットテープやワープロ出力した紙の束を渡すよりも広い手段がないものかって。
5年ほど前に自分のサイトを立ち上げてもらう時、真っ先に思いついたのは「メキシコ旅情」だった。それまで友人に読んでもらっていた自家本を、更にネット向けに手直しした。
同時に「台湾日記(ブログ移行時に「台湾の7日間」に改題)」も、旅行時の日記から書き起こしながら更新していった。
そしてテキストのコーナーがこのブログに移行され、旅日記よりも後回しにされながら続けてきた「空想百景」も、ついに100回目の更新が近付いてきている。
いつだか(これが終わったら、その後どうしよう?)と考えていて、ふと気が付いた。
すべて過去形だったのだと。
少なくともいくつかの話のネタと、この「空想百景」の基本的なコンセプトを書き留めていたメモは、ホームページという形態すら知らない時点から生まれている。
つまり、自分のサイトもブログも、すべて10年以上前の表現物だったのだ。
そして「ここ10年」とは、過去の願いを叶える時間だったのかもしれない・・・なんて思ったりもする。
10年前までの自分が表現したことや、表現したかったことに一段落つける時が来た訳だ。
20代の自分に対する落とし前、だったのかもしれない。
ところで今、僕は髪を伸ばしている。
とりあえずは自分史上で最長、といえるまで達した。
こんなのは後付けの理由だけれども、ある意味で新たな自分を象徴している気もする。
平成20年3月4日
