2008年03月04日

97*十年一昔

 いつの間にか、頻繁に「ここ10年」といった区切りで何かを喩えたりする事が多くなった。
 それも自覚するようになってから、だいぶ経つ。なんだか懐古主義みたいで気恥ずかしくもあるのだが、どうにも止まらないようだ。

 具体的には「ここ10年」で携帯を持つようになり、パソコンも持つようになった。そこには当然ながら、メールやホームページやブログといった事柄も含まれる。
 それから作詞作曲や描画といった、割と創作的な趣味も熱意と共に失われた10年という気がしている。それに代わってガンプラだったりゲームだったり、まぁそういった消費の度合いが高い趣味に走った。
 それ以外にもキャンプなどから縁遠くなったとか、理想主義者的な考え方が鳴りを潜めたとか、少なくとも自分で感じる「ここ10年」の変化というのが結構あるのだ。
 体重が増える一方になってしまった、というのもある。

 老化、いや老成の始まりなのかもしれない。
 そう思ってみて、ほろ苦い気持ちになる。
 体力や体質の変化に抗おうという気はないし、精神的にも淡々としてくるのだって分からなくはない。まぁ他愛のない事ばかりであれど、いろんなことがあったものな。

 先週、このブログにて1年ほど更新してきた「'05台湾×2」が終了した。
 いわゆる旅モノも、これで一段落といった感じがする。行ってみたい場所というのも、それほど思い浮かばないし。
 それに自分にとっての旅というものが、何というか少し分かったような気がして。
 変な喩えだけど、メーテル・リンクの青い鳥みたいなね。

 10年前、自分の表現を公表できる環境があったら好いなと思っていた。
 要するに「プロになるかならないか」といった選択肢でなく、それまでのように親しい人にカセットテープやワープロ出力した紙の束を渡すよりも広い手段がないものかって。

 5年ほど前に自分のサイトを立ち上げてもらう時、真っ先に思いついたのは「メキシコ旅情」だった。それまで友人に読んでもらっていた自家本を、更にネット向けに手直しした。
 同時に「台湾日記(ブログ移行時に「台湾の7日間」に改題)も、旅行時の日記から書き起こしながら更新していった。
 そしてテキストのコーナーがこのブログに移行され、旅日記よりも後回しにされながら続けてきた「空想百景」も、ついに100回目の更新が近付いてきている。
 いつだか(これが終わったら、その後どうしよう?)と考えていて、ふと気が付いた。
 すべて過去形だったのだと。

 少なくともいくつかの話のネタと、この「空想百景」の基本的なコンセプトを書き留めていたメモは、ホームページという形態すら知らない時点から生まれている。
 つまり、自分のサイトもブログも、すべて10年以上前の表現物だったのだ。

 そして「ここ10年」とは、過去の願いを叶える時間だったのかもしれない・・・なんて思ったりもする。
 10年前までの自分が表現したことや、表現したかったことに一段落つける時が来た訳だ。
 20代の自分に対する落とし前、だったのかもしれない。

 ところで今、僕は髪を伸ばしている。
 とりあえずは自分史上で最長、といえるまで達した。
 こんなのは後付けの理由だけれども、ある意味で新たな自分を象徴している気もする。

平成20年3月4日
ku97.jpg


posted by tomsec at 23:52|  空想百景<91〜100> | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする